ハッと気づいた時には遅くて、凶虎の総長がニタニタしながら私のスマホの電話を切っていた。
…馬鹿だ、私は。
茜に迷惑かけて、なにやってんだ。
これは青嵐と凶虎の問題なのに、私の問題なのに。
友達じゃない、ただの話し相手の茜が強いからって、頼ってしまった。
「お前ら、ちょっと待っとけ。後20分そいつがこなかったらその続きしていいぞ」
私の周りにいた男たちが離れていく。
でも、ムカつきは収まらない。
「………んで?」
「なんだ?何かいいたいことでもあんのか?」
ニタニタ笑いかけてくるコイツはやっぱり────狂ってる。
「なんで、茜に電話かけたの!?青嵐には関係ないじゃん!!」
「俺にはソイツが青嵐かどうかなんて分かんねぇからなぁ?ワリィワリィ。でも、助けを求めたのはお前。だろ?」
そんなこと…言われなくてもわかってる。
「さぁ、茜くん?は助けに来てくれるかな?」
唇を噛んだ私を、覗き込むように見て意地悪く笑う凶虎の総長。
どうしよう、私のせいだ。
「…来たとしても、手は上げないで。茜は青嵐には関係ない!」
「それは約束できねぇなぁ?」
──ツツ…
ゾワ、背中に悪寒が走って太ももを見ると、凶虎の総長の指が太ももの上を前後していた。
気持ち悪い。
ウッと、吐きそうな気持ちになる。
「手を、離して」
震えそう、いやもう震えている声を振り絞ってそう言う。
でもそんな私をみてもコイツはニヤニヤ笑うだけ。



