でもそんな私の言葉をまるで信じないと言った様子でニタニタと、ソイツは気味悪く笑い続ける。




「まぁ、本当か嘘か、そんなのすぐ分かるだろ」





自信ありげにソイツはそう言った。




けど──案の定、それから30分たっても誰も来なかった。




イライラしてる凶虎の総長を見ながら、私は内心ものすごく焦っていた。





だって、どうしよう!


わた、私絶対に良いようにされちゃうよね?


あれこれされちゃうのかな?




やだ、そんなの絶対に嫌だし、なにより───怖い。




いろんなところを殴ったり蹴られたり。


さっきから、たびたび私に八つ当たりしてくる凶虎の総長のせいで、強がっていた私の心も崩れそうになっていた。




青嵐の姫だった時、こういうことが無かったわけじゃない。



でも誰かが助けに来てくれるって分かってた、だから強がっていられただけ。



ほんとはすごく怖かったけど。




──でも、今は違う。


来てくれる人がいない。


助かる可能性がない。


いやだ、怖い、でもこんな奴らの前で弱音は吐きたくない。



ガタガタ、震え始めた私の足をみて一人の下っ端が口を開いた。




「総長まさかコイツ、マジで…」


「あ!?うぜぇんだよ引っ込んでろ!」



───ガッ!



相当ムカついてるらしく、ちょっと口を出した仲間にすら手を上げている。


やだ、どうしよう、怖い。




「うっ!!す、すみません!」



ソイツは、そう言って下がった下っ端を冷たく見てから、私のほうに目を向けて──ニタリ、気味悪く笑った。



な、に?






「もーいいや、お前らコイツ好きにしていいぜ」




体が、スッと冷える。


凶虎の総長に、私はバッと顔を上げた。






「や、やだ!!お願いそれだけはやめて!」




縛られた手足をバタつかせ、なんとか縄から抜けようとする。


なんでとれないの!?


いやだ、怖い、いやだ。



…ヤダッ…!!





「うるっせんだよ!!おい、コイツの携帯どこやった?」




…嘘。いつのまに取られてたの?




「私の携帯?どうするつもり!?」




そう叫んだ私を無視して、下っ端に渡された私のスマホを弄っていく。


その様子を見て縄をほどこうと暴れてた私の頬に、バシン!!と誰かの手があたった。



「お前はこっちだよ」