「日向ちゃんの周りのこと聞かせてよ」
「いやー、そんな楽しいことじゃないんですよ?あ、龍騎さんメロンソーダ」
「まってろ」
「龍騎、おれコーヒーな。日向ちゃんにはそんな笑顔になるくらい楽しいんだろ?じゃあ聞かせてくれない?」
「う、ん。じゃあ」
龍騎さんがここ一応、バーなんだけど。
と横でいってるのが聞こえた。
だって仕方ない。私たち未成年だもの。
「えっと、わたし高校1年生になるまで本気で仲のいい友達とか信頼できる人とかいなかったんですよね」
「へぇー」
「おれ、お前のそーゆー話し始めて聞くな」
そういえば、龍騎さんには学校のこととかもちゃんと相談してないもんな。
「で、すごく大好きだったんだけど。高2になってから、いろいろあって。一緒にいられなくなっちゃったんです」
えへへ、苦笑いしながら言う。
「で、学校のみんなにも、そのまぁいろいろ知られちゃって。根も葉もないこと言われたり。正直キツかったんです。最近までは」
だから、久しぶりに龍騎さんのバーにも来たし。
「でも、私の噂とか知らない人に出会って。今はすごい楽なんです。誰になに言われても気になんないし、ただ、その人が噂のこととか知って離れていかないといいなって思って」
へへ、笑いながら顔を上げて2人を見れば。
…なんかしんみり、しちゃってない?
そ、そんなしんみりさせようとしたわけじゃないのに!
「いや、でもそれがその人面白いんですよー!ちょ、龍騎さんも聞いてよ!あのね、学校の近くにあるパン屋さん大好きでいっつもそのパン買って食べてんの!それも、男が甘いもの好きだとカッコ悪いとか思ってんの!小学生みたいでしょ!?」
あは、あははははー。
乾いた笑いをプラスしながら、そう言うと龍騎さんがなぜかわたしの頭を撫でて来た。
「お前、いままで名前と学校とかしか教えてくんなかったけど。いろいろ大変だったんだな、今は平気なのか?」
「いや、も、もちろん平気平気!」
解決したわけじゃないし、不安要素いっぱいあるけどね。
イケメンの色気たっぷりの顔で心配されて、わたしもう胸がいっぱいです!!
お願いだから頭から手を離して欲しい!!心臓崩壊する前に!
そんな焦ってるわたしの横で、朝陽さんが「ふっ、あいつ…」と言って笑ってたのに私は気づかなかった。



