─────────
───
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ」
あれからまるまる、2時間半。
ちょっと太陽の位置は下がり。
今は4時くらいだ。
「もー!!ほんと疲れたー!!!!」
私がそう叫べば茜は意地悪く笑って、
「こんだけでかよ?」
なんて言ってきた。
かっちーん。
「こんだけって、こんだけって…!!思いっきり殴ろうとしてきてたでしょ茜!!」
「あ?…するわけねーだろ?」
顔がニヤついてるんですよ顔が!
「ほんと怖かったんだからね!」
「もし避けれなかったとしても止めるし、ズラすから平気だっつの」
「ほんとだよね!?」
「……やったことねーけど、多分できる」
「多分!?馬鹿野郎!」
「喧嘩教えねーぞコラ。ったく、お前の避けれるスピードでちゃんとやってるっての」
「もう」なんて呟きながら息切れする私をおいて、茜は座っていたブランコから立ち上がった。
「次は───」
そして、あたりを見渡して。
私が首を傾げるのと同時に、ニヤリと笑った。
「───お、ナイスタイミング」
茜がニヤリとして見ているところに私も目を向けると、そこにはこっちに向かって歩いてくるニヤニヤ笑った気持ち悪い人が2人。
「お前、喧嘩みれるか?」
好きじゃないけど、姫だったんだ私だって。
「大丈夫」
「上等」
はっきりとそう言った私に、茜はニヤリと笑って片方の口角を上げた。
どちらともなく近づく茜と2人組。
「あっれ〜?藤代さんじゃ〜ん。こんなとこで女といちゃついてなにしてんだよぉ?」
「いちゃついてるように見えんのか?目ん玉可笑しんじゃね?…えぐりとってやろーか」
茜の声に、肩がビクリと揺れた。
二人とも、ものすごく声が低い。
威圧感、すごい。
それも茜って有名なの?
そんなことを思っていれば、2人組のもう1人の方が口を開く。
「こいつの目をえぐりとる?んなことできるわけねぇだろバカかよ?お前調子乗ってんじゃねーの?ちょっと有名な白りゅ──」
そしてそいつが何かを言いかけたそこで────そいつの顔に茜の足がめり込んだ。
骨のぶつかる音に目を瞑りたくなるけど、口を固く結んで堪える。
「あ、がっ…」
でも、固く結んでいた私の口は驚きのあまり開いてしまった。
だって、まだ一発しかくらってないのに。
そいつは呻き声を上げて後ろに倒れていってしまった。
「──えぐりとる?ああ、しねぇよ?てかキメェだろ」
ニヤリ、笑った茜に少し鳥肌が立つ。
…す、ごい。
茜、こんなに強いの…?
もう1人の人が後ろから殴りかかるけど、茜はそれを見計らっていたかのように後ろに回し蹴りした。
「ゔッ…」



