くっそー。
「よし、とりあえず食いもん買いに行こーぜ」
「仕方ないなぁ」
「あ?」
「了解ですぅうっ!!」
ビシィィ!おでこに華麗に敬礼を当てながら茜と旧美術室を後にした。
柄にもなく、誰かと会わないかドックンドックン冷や汗かきながら茜と廊下を歩く。
でもそんな心配も必要なかったみたいで、学校から出られた。
「よし、とりあえずパンだ、パン」
そう言った茜は、学校から百メートルほど離れた所にあるパン屋さんに向かって歩き始めた。
昨日私を助けてくれたときも、このパン屋の袋だったなそういえば。
ありがとうパン屋さん。
そういえば、今気づいたけど、私たちまだ会うの二回目だよね?
茜の性格のおかげかな、すごい打ち解けてるけど。
「茜、そこ好きなの?」
「おう」
「ふーん、食べたことない」
「は、え、おま、…馬鹿か何か?」
「…茜まじでふざけんな!」
私の言葉を聞いて、どもりまくった後。
すごく深刻そうな、シリアスな顔で言われた。
茜という馬鹿な奴に真面目な顔で馬鹿と言われて激しいムカつきを覚えた私は、言葉の所々に怒りを込めながらそう言った。
「だってあそこのパンマジで旨えんだぞ。それを食ったことねぇって、お前今までの人生100パーセント中97パーセント損してんな」
いったいなにがあったんだろう残りの3パーセント。
てゆーか、私の人生損しすぎだよね負の連鎖だよね。
もはやメンタルどのくらいの強度の人だったら乗り越えられるんだろうその人生。
たかがパンなのに。



