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*とある夜の路地裏side*
賑やかに、夜なのにも関わらず、大声で笑い話す彼ら。
途中、何か争うような声が聞こえて彼らは横の路地裏に目線を移した。
闇の中で、繰り広げられるそれ。
その光景に、彼らは目を細める。
「──あれ、柚姫さん…?」
「…は?」
「え?」
そこには、茶髪を緩く巻き上げた美少女と、その女を守るように立ちはだかる黒髪の少し顔の整った男がいた。
それと、その目の前で座り込み、泣きじゃくって否定する女。
彼らは、茶髪の女以外は知らないらしく不思議そうな顔をしながら物陰に隠れてその様子を眺めた。
茶髪の女は、泣きながら男に抱きついた。
「この子が仲良くするなって、叩いてきたのっ!ひっく、ひっく…」
「お前ホント最低だな。そんなやつだったんで知らなかった…!もう、お前は彼女なんかじゃねぇから。いこう、柚“香”」
「ちがうっちがうよぉっ!やだぁぁ、ひっく…、いかないで!柚“香”ちゃんが嘘ついてるんだよ!?」
「ひ、どい!柚“香”嘘なんかついてないのに…!!」
茶髪の女の言葉に、物陰で覗く彼らは呟く。
「柚……“香”?」
そして彼らは、どこかで見たことのあるような目の前の光景を呆然と眺めた。
「柚“香”のせいにするなんて、もういい加減にしろよ!!いくぞ柚“香”」



