真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】



日向には、こんなにもわかってくれる仲間がいる。


こんなにも強い、仲間がいる。




──日向は、大丈夫。



そう安心して、あたしはまた口を開いた。



「旅行の時、気をつけて。日向が────消えないように」




消える、なんて頭おかしいなんて思われるかもしれない。


でも正直、あの時の日向は消えそうだった。


きっと旅行の時、日向は一歩間違えたら消えそうになる。


またあの時みたいになっちゃうと思う。




だから、あんたたちに任せた。



日向を絶対に────消さないで。



「──あ、それと。日向気を使いすぎるのも、なし。海にいかないとかも、なし。あの子すごい楽しみにしてるから」



相変わらずの無表情でいった私に、日向の仲間は笑顔を向けてきた。



もちろん、お兄ちゃんも。



でも、藤代茜は無表情に、ずっとどこかを眺めたままで。


あたしもそこに視線を移すと、そこには沈もうとしている紅い夕日が見えていた。



じっと夕日を見つめていた藤代茜は、再度歩き出したみんなにつられて、夕日に背を向け歩き出す。




──でも、夕日から目をそらす瞬間、酷く悲しそうな目をして、口を動かして。



『アイツも』



声は出さないで、そう、言った気がした。





旅行まで────あと6日。





*伽耶side end*