日向には、こんなにもわかってくれる仲間がいる。
こんなにも強い、仲間がいる。
──日向は、大丈夫。
そう安心して、あたしはまた口を開いた。
「旅行の時、気をつけて。日向が────消えないように」
消える、なんて頭おかしいなんて思われるかもしれない。
でも正直、あの時の日向は消えそうだった。
きっと旅行の時、日向は一歩間違えたら消えそうになる。
またあの時みたいになっちゃうと思う。
だから、あんたたちに任せた。
日向を絶対に────消さないで。
「──あ、それと。日向気を使いすぎるのも、なし。海にいかないとかも、なし。あの子すごい楽しみにしてるから」
相変わらずの無表情でいった私に、日向の仲間は笑顔を向けてきた。
もちろん、お兄ちゃんも。
でも、藤代茜は無表情に、ずっとどこかを眺めたままで。
あたしもそこに視線を移すと、そこには沈もうとしている紅い夕日が見えていた。
じっと夕日を見つめていた藤代茜は、再度歩き出したみんなにつられて、夕日に背を向け歩き出す。
──でも、夕日から目をそらす瞬間、酷く悲しそうな目をして、口を動かして。
『アイツも』
声は出さないで、そう、言った気がした。
旅行まで────あと6日。
*伽耶side end*



