その道は、脆く、細く、少しの衝撃で壊れてしまうのに。
今の幸せな生活を壊したくない───“自己保身”、その言葉が彼らにはぴったりだ。
「なんとか言えよ」
気づいたら自分の顔から表情が消えていて、歩の声で我に返った。
てゆーか、なんとか言えって言われても困るんだけど。
「別に買い物してただけ」
無表情で歩をみてそういうと、歩は一瞬顔を歪めた。
──ねぇ、あんたは何を考えてる?
顔を歪めたかったのも、なんでって顔をしたかったのも、全部私なんだけど。
…にしても、これ以上ここにいると余計なことに気づかれる可能性がある。
心の中の焦りを感じ取られないように、伽耶の手をとって
「いこう、伽耶」
声をかけ、青嵐の幹部の奴らに背を向けて歩き出す。
二歩。進んで。
3歩目を踏み出そうとした時、
「──あれ、でもお前は海には、「っ黙って!!!」」
気づいてしまったらしい茂が声を出した。
それを焦って遮る。
──こいつらは、私の過去を知ってる。
私の、海のトラウマも。
だから去年の私が青嵐の姫だった夏は、海にはいかなかった。
というより、私に気を使ってか、海に行こうと言い出す奴がいなかった。



