「なんとなく、わかった気がする」
ふっと笑ってそう言うと、茜は意地悪な笑みを浮かべたまま「そりゃあ、よかったな」なんて言った。
そのまま歩いて行っちゃう茜の背中に話しかけた。
「今度っ、青嵐となにがあったか詳しく話して聞かせてあげるね!」
そういった私に、茜は顔だけ振り返って、
「楽しみにしてるわー」
気だるげに言った後、
「2泊3日で海いくぞ、一週間後。明日は色々買いに行く」
そう言ってまた歩いて行ってしまった。
「っ〜〜!」
顔に溢れるニヤけが止まらなくなる。
嬉しい、よかった、行けるんだ旅行。
そんな私を見て、美影とタカもふわりと笑った。
日陰で比較的涼しい倉庫に、ふわっと暖かい空気が入ってきて、肌をかすめた。
それに余計、私の笑顔は溢れた。
────でも私は、“海”に旅行に行くと言ったところに、全くと言っていいほど気に留めてなかったんだ。