この仕事をはじめた年長のころから丁度一年。小1になった俺の人気はまだ続いていた。
でも、有名になることに伴って。
出演した回数が増えるたび。
──俺への風当たりは強くなった。
ネットでは、バッシング。
母さんは、最初は近所の人にちやほやされていたのに、なぜか今は嫉妬されてあらぬ噂を流されて。
でも、1番辛かったのが、撮影のときだった。
気づいたらこと仕事が大好きだった俺は、今までの俺の演技の下手くそさを痛感させられた。
俺を有名にしてくれたドラマの監督も『新人なら、まぁこんなもんだろ』と評価してくれてただけに過ぎなかった。
『“新人なのに”こんなに演技が上手い』
『“新人なのに”礼儀正しいのねぇ』
俺がこの世界で、のびのびとできたのは、新人だったからだ。
沢山のドラマにでた俺への態度は、初期の態度とガラリと変わった。
『カットカット!もっとこう…怒っている感じにできないかな?』
『は、はい!すみません!』
『もう一回いくぞ。…ったく、こいつの感情なんか前後読めばわかんだろ…』
ブツブツ、呟いて戻っていく監督。
イヤミっぽいな…。



