真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】




この仕事をはじめた年長のころから丁度一年。小1になった俺の人気はまだ続いていた。




でも、有名になることに伴って。


出演した回数が増えるたび。



──俺への風当たりは強くなった。



ネットでは、バッシング。


母さんは、最初は近所の人にちやほやされていたのに、なぜか今は嫉妬されてあらぬ噂を流されて。



でも、1番辛かったのが、撮影のときだった。



気づいたらこと仕事が大好きだった俺は、今までの俺の演技の下手くそさを痛感させられた。



俺を有名にしてくれたドラマの監督も『新人なら、まぁこんなもんだろ』と評価してくれてただけに過ぎなかった。


『“新人なのに”こんなに演技が上手い』

『“新人なのに”礼儀正しいのねぇ』



俺がこの世界で、のびのびとできたのは、新人だったからだ。




沢山のドラマにでた俺への態度は、初期の態度とガラリと変わった。




『カットカット!もっとこう…怒っている感じにできないかな?』



『は、はい!すみません!』



『もう一回いくぞ。…ったく、こいつの感情なんか前後読めばわかんだろ…』



ブツブツ、呟いて戻っていく監督。


イヤミっぽいな…。