*幹夫side*




「──俺、昔、子役やってたんだ」



目の前の日向を見つめながら、一言、言葉を発した。


そんな俺の言葉に、目を見開く日向。



「ミッキーが、子役…?」


「しらねぇかな?中森 ミキって子役」


俺の言葉を聞いて、日向はうーん…と考えるように唸ってから目をパッと見開いた。



「っあ!!そそ、それって、超超有名だった!?その子がでたやつは必ずヒットするって言われてた────あれ、ミッキー…?」



「そ、それ。俺」



戸惑うように瞳を揺らす日向をみて、自嘲気味に笑いながら俺は過去の記憶を解き放った。








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始まりは、スカウトだった。


当時幼稚園の年長だった俺は、父さんは病気で死んじゃったけど、優しくて綺麗な母さんがいる生活に寂しさも感じず満足してた。



かっこいいって言われることも、可愛いって言われることもあったけど、別に気にも留めてなかった。



でも、母さんと東京まで出かけたとき。



『あのー、子役とかって興味ありませんか?私、こういう者なんですけど…』



そう声を掛けてきた男によって、俺の人生はガラリと変わった。


母さんは、『そういうのはちょっと…』と口を開いたけど。