10秒か、20秒か。
私にはもっと長く感じられたけど。
そのくらい経った時に、ミッキーが「ふっ」て、笑った。
驚いて、いつの間にか下がっていた目線をミッキーに戻す。
「ミッキー…?」
不安に駆られながらも聞くと、ミッキーは自分の前髪に手を伸ばして────前髪を上に上げてピンでパチリと止めた。
露わになる、ミッキーの顔。
2度目。
整ったパーツ。
長い睫毛と、濡れたような黒い瞳。
少し垂れた目。
ピンク色の薄い唇は、見慣れているハズなのに他のパーツと合わさると何処かいつもと違って見える。
かっこ良くて、色気が全体から放出されてるようなその顔は、なんとも言えない表情だった。
眉は下がっているのに、無理やり口角を上げて。



