真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】



「ちょっと、茜、いきなりなにすん──」


「ばーか」



…は?


ムッと顔を歪めると、茜はいつものように意地悪く片方の口角を上げて笑った。



「考えすぎなんだよ、てめーは。いいか?幹夫とちゃんと話ししなかったら旅行はいけねぇんだ。難しいこと考えてんじゃねぇ」



「でも、もし」


「でももだってもねぇよ。旅行に行きたいか、行きたくねぇか。どっちだよ」



「そりゃもちろん、行きたいよ」


「んじゃあそれでいいじゃねーか。お前は旅行にいきたいってことだけ考えてろ。聞いたら拒絶されるかもとか、んなこと考えてビビってんじゃねえ」


「………」



「だーもう!幹夫はお前が聞いてやれば絶対話してくれんだよ、あいつだって自分から話す勇気がでねぇだけだ。お前が聞く勇気がでねぇのと一緒で」



「あ、」



あ、でも……そうかもしれない。


私が助けてみせるって言ったのに、なに弱気になってんだろう。


だめだなぁ、私。


いっつも茜に助けてもらって、背中押してもらってばっかりだ。


旅行にいくため、なんて。

不純な動機だけど。


でも何か背中を押してくれる何かがあれば、私はきっとミッキーに聞ける。

「ありがとう、茜。私ぜったいミッキーと仲直りする」



「おう、じゃあ倉庫いくか。相希、金ここ置いとく」


口にシフォンケーキを詰めまくってる相希は、口を動かすことができずにコクリと頷いた。



「またね、相希」



私も声をかけて、深呼吸を一回して立ち上がった。


茜の背中を追いかけて歩きながら、もう一度、「ふー…」と息を吐いた。