「てゆーか、余裕ぶっこいてんのはそっちでしょ?油断大敵、別に不意打ちじゃないから────悪しからず」
喋りながら、素早く手加減してあげないと、とかほざいてた奴の横について。
そいつの耳元で、語尾にハートがつきそうな声で“悪しからず”そう囁いた。
すっと足を振り上げて、私はそいつの鳩尾に膝をめり込ませた。
「きゃー、一発KO!日向かっくいー」
棒読みの歓声を後ろから投げてくるタカをスルーする。
私は残りのやつらを潰すために足にまた力を入れた。
後ろから来ていたパンチをよけつつしゃがんで、目の前の男に足を引っ掛けて顔にエルボを食らわす。
目の前の男が片付いたから、後ろからパンチを飛ばしてきた奴の鳩尾に蹴りを。
そしてそのまま流れるように回し蹴りして。
私のやらなきゃならない人数はあと一人になった。
真ん中でびびってる、リーダー格のやつをターゲットにしてそこまで音なく走る。



