「ひぃちゃん本当に気をつけろよ、敵に間違えてそんなこと言ってみろ。怒りの矛先は全部ひぃちゃんだぜ?」
慌てて謝る私の横に、イガグリ頭の大仏くんが笑いながら現れた。
左から、大仏くん、私、暁、モヤシダさんの順番で横に並んで歩を進める。
本気で反省している私をみてか、モヤシダさんは呆れたような笑顔で口を開いた。
「ったく、もういい────」
────ガッ!!
モヤシダさんのその言葉で笑顔になった私の表情も、モヤシダさんと暁と大仏くんの呆れたような笑顔も、硬直した。
真後ろで聞こえた音に、ギギギギッと壊れた人形のごとく首を回す。
見えたのは黒いパーカーのフードを被ってかっこ良く佇む、茜の背中。
それと、後ろに倒れていく男が1人。
「──ったく、てめぇらよそ見してんじゃねーよ」
半分振り向き、私たちに横顔を向けながら茜は余裕の表情でそう言った。
…は、反則。
かっこよすぎるん、だけど。
不覚にもキュンとしてしまった心臓を抑えながら、2回、深呼吸した。
今はキュンとしてる場合じゃない。



