すぐにシリアスな空気から抜け出してしまった私たちを引き戻すように、タカがわざとらしく咳払いをした。
と、思ったけど。
横にいた美影に、「ヤッベ、今の咳払いめっちゃ威厳あったよな?キマってなかったか?」と聞いてるところを見るとタカもシリアスには向いてないみたいだ。
そんなタカに、「はあ」とため息のような声を出した美影は再度、口を開いた。
今のため息だったのかな。
めっちゃ棒読みだったよな。
「近々交戦することになるとおもう。お前ら、気ぃ引き締めとけよ。あと、1人で歩くな。あいつら大人数で来ると思う。それだけ」
大人数対、1人ってリンチじゃん。
卑怯────なんて、言ってられない。
だって族の世界に卑怯も何もない。
この暗い、闇の、無法の世界で仁義もなにも成り立たない。
やって、やられる。
強いものが全て。
ただ、それだけ。
美影の威厳のある声に、再び静かになった倉庫。
緊迫した空気の中、茜の声がゆるゆると響いた。
「んじゃ、まー外出るか。日向の特訓のためにもな」
────
繁華街の裏。
暗い暗い路地と公園。
治安が良くないこの街では“夜は通るべからず”これ基本。
だってそこにいるのは───血に飢えた、喧嘩だけを求めて生きてる不良と。
地位を上げるために名の通った族を狙ってる、小規模暴走族。
それとそんな不良を狩ろうと躍起になってる警察たち。



