でも、今は。
その前にみんなに、伝えなきゃいけないことがあるから。
すうっ、と息を吸って
「あのっ!!」
大きい声でみんなに呼びかけた。
「うわっ、ビビったー」
近くにいたタカがそんなことを言いつつも、私のほうを見てくれる。
そんなタカにつられるように、みんなも私のほうへ顔を向けてくれた。
「…なんだよ?」
「あの、私の最近のこと、なんだけど。
茜から聞いた。みんな、私の様子がおかしかったの気づいてたよね?──心配かけてごめんなさい。」
深々と頭を下げた私に、驚いたような顔をしたみんなだけど、私の次の言葉を待つように、
「おう」
優しく返事をしてくれた。
「私、最近学校でいろいろされてて。正直キツかった。でも、みんなの心配そうな顔とかみたくなくて、笑ってて欲しくて、自分で解決して見せるって思って。
だから、みんなの前ではそれは出さないようにしてたつもりだったんだけど。
それのせいで逆に心配かけて、ごめん。ごめんなさい」
ほんとうに、ごめん。
謝った私に、みんなは眉をハの字にした。
そういう顔をさせたくなかったの。
でも自分で解決すれば、なんてそんなのただの独り善がりだったよね。
話せばよかった。
もっと早く、話せばよかった。
そしたらみんなに余計な心配かけないで、すんだのに。
落ち込む私とは裏腹に、みんなの顔は優しい笑顔になっていた。
「おめぇはもっと、人を頼れよ」
「そうだよひぃちゃん、俺ら言ってもらえなかったり頼ってもらえないことの方が辛いから」
「っ、うん」
声が、震えた。
ふわり、厳つい顔のくせして。
そんな音がきこえそうなくらい、皆は優しく笑ってた。
優しすぎるんだ、この人たち全員。
「日向、お前は仲間だろ。俺こんなんだけど一応お前のこと認めてるし心配してんだぜ」
うるっ、目の奥が熱くなった。
不意打ちだ、ズルイよタカ。
いつもそんなこと言わないくせに、なんなんだ。
皆私のこと、泣かすきなんじゃないの。
でも今日はいっぱい泣いたし、泣かないから──
「我慢しないで、泣いちまえよ。お前今までいろいろ溜め込んでたんだろーが」
──茜のバカ。
我慢してたのに。
そういう泣かせるようなこと言うの、ズルイと思うんだ。



