私の目元から手を離して、茜は作戦を決行した。
「あと、青嵐の総長とやら。日向は白龍の姫じゃねぇよ?もっとふっかーい仲」
意味深な発言をした茜に、中哉は眉を寄せる。
「…それってどういう──」
──今だ。
戸惑ったような声をだした中哉を遮るように私は行動を起こした。
さっきから私に野次を浴びせてきていた青嵐の下っ端の1人の首元を掴んで、自分の顔に引き寄せる。
拳を振り上げて──
「こういう、こと」
そいつの顔に当たるギリギリのところで、ピタリ、止めた。
凡人とは違う、スピード。
顔の急所を狙った的確な拳。
青嵐の下っ端くらいのやつなら、怖気づかせることができる殺気。



