真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】


どこだかわからない空き教室に、ふらふら入ってへたり込む。




過呼吸になってすぐに走り出すなんて、なんて馬鹿なことしたんだろう。





息が全然整わない。





「う、はぁ、」




袋、ない。



このまま私、死ぬのかな?






──しかたない、か。




朦朧とする意識の中でそんなことを考える。



自ら人生を終わらせようとは思わないけど。




生きることに未練はないし…。



そんなことを考えて瞼を下げた時。




──ガラッ



「あ?んだお前」


突然開いた扉に、耳に届いた声。




「っ!?」


びっくりして閉じかけた目を開けて、扉の方に目線を移した。




誰か、きた?



でも、駄目だ。

視界がぼんやりして誰なのかもわからない。





「…もしかして過呼吸か?しゃーねーな。俺のお気に入りの場所で死なれても困るし…」






なんてぶつぶつ呟く声が聞こえて、スッと、口元に袋があてられた。





何回も呼吸を繰り返すと、なんとか息が整っていく。
 





けっこうな時間がたって、目の前もハッキリ見えるようになった後。


改めて助けてくれた人のほうへ体を向け、頭を下げた。






「ありがとう、ございました」



「おう」



返事が聞こえて、顔を上げて。




そして、その人の顔をみて固まった。





茶髪と金髪の中間くらいの綺麗な髪色。


片側だけ耳の見えたツーブロヘア。



すべすべそうな肌、高い鼻に、二重のキリッとした威圧感のある目。






うわ、かっこいい…。






こんな人、学校にいたっけ?

青嵐以上の容姿。




こんなに格好よかったら、学校で騒がれてそうなのに。





そう思って、じーっと見つめていると、彼はニヤリと口角を上げ意地悪くわらった。





「見とれた?」





「え、はい!いや、ぜんぜん!?」