どこだかわからない空き教室に、ふらふら入ってへたり込む。
過呼吸になってすぐに走り出すなんて、なんて馬鹿なことしたんだろう。
息が全然整わない。
「う、はぁ、」
袋、ない。
このまま私、死ぬのかな?
──しかたない、か。
朦朧とする意識の中でそんなことを考える。
自ら人生を終わらせようとは思わないけど。
生きることに未練はないし…。
そんなことを考えて瞼を下げた時。
──ガラッ
「あ?んだお前」
突然開いた扉に、耳に届いた声。
「っ!?」
びっくりして閉じかけた目を開けて、扉の方に目線を移した。
誰か、きた?
でも、駄目だ。
視界がぼんやりして誰なのかもわからない。
「…もしかして過呼吸か?しゃーねーな。俺のお気に入りの場所で死なれても困るし…」
なんてぶつぶつ呟く声が聞こえて、スッと、口元に袋があてられた。
何回も呼吸を繰り返すと、なんとか息が整っていく。
けっこうな時間がたって、目の前もハッキリ見えるようになった後。
改めて助けてくれた人のほうへ体を向け、頭を下げた。
「ありがとう、ございました」
「おう」
返事が聞こえて、顔を上げて。
そして、その人の顔をみて固まった。
茶髪と金髪の中間くらいの綺麗な髪色。
片側だけ耳の見えたツーブロヘア。
すべすべそうな肌、高い鼻に、二重のキリッとした威圧感のある目。
うわ、かっこいい…。
こんな人、学校にいたっけ?
青嵐以上の容姿。
こんなに格好よかったら、学校で騒がれてそうなのに。
そう思って、じーっと見つめていると、彼はニヤリと口角を上げ意地悪くわらった。
「見とれた?」
「え、はい!いや、ぜんぜん!?」



