「好きな女の言うこと鵜呑みにして、無実だって訴える仲間を切り捨ててる時点で──てめぇらは足元なんて全然見えてねぇって言ってんだ。
仲間の言葉も信じらんねぇ奴らが俺らと敵対?──ハッ、笑わせんじゃねぇよ」
隠しきれない怒りを滲ませて、吐き捨てるように言った茜に、私の喉の奥はカッと熱くなった。
クリアになっていたはずの視界はぐにゃりとまた歪んでいく。
目には涙が溢れているのに、茜が私のために怒ってくれたってことが嬉しすぎて。
ふにゃり、口元が緩んでしまった。
これが嬉し泣きってやつなのかもしれない。
「うっ、へへへ…」
ぽろぽろ目からこぼれる涙を拭きながら、口から笑い声をこぼすと茜が「怖ぇ、何笑ってんだよ」と引いたような声を出してきた。



