真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】




そんな私を、落ち着かせるように。


目元にある茜の手に、グッと力がこもった。



「…なにしにきた、オマエ。それも日向が仲間?白龍の?それは白龍の姫ってことか」



幹部たちのあとに続いて、静かに低い声でそう言った中哉はやっぱり総長の威厳がある。




茜は、なんて答えるんだろう。


今、どんな顔をしているんだろう。


私の目元を覆う手を、ほんの少し遠ざけて上をチラリと覗くと。




──茜はいつも通りの意地悪な笑みを顔に貼り付けていた。



いや、貼り付けているように見えた。


いつもと同じ笑顔のハズなのに、それがどうしても貼り付けられた笑顔のように感じられてしまう。




まるで心の中の──怒りを隠しているみたいに。




でもまさか、私がバカにされたくらいじゃ怒ったりはしないだろうから。

多分私の勘違いだと思うんだけど。




──もし、勘違いじゃないんなら。
私は嬉しくてたまらない。




貼り付けたような笑みで、中哉と目線を合わせていた茜は間をあけて、口を開いた。