そんな私の心の中も知らずに、騒ぎ始める周りの野次馬。
黄色い女子の声が聞こえてきて、そういえば茜の顔ってすごい整ってるんだっけなんて思う。
でも、そんなうるさい声の中でもかき消されることなく、低いその声は響いてきた。
「…てめぇ…!!白龍の幹部!!」
鋭い殺気を放って、私を包みこむ茜に声をあげたのは夕だった。
どんな顔をしているのかは、わからないけど。
きっと夕はものすごい形相なのに、茜はいつも通り平然としているんだろう。
周りの野次馬の声が少し、小さくなった。
そして、そんな夕の言葉に茜が白龍の幹部だと気づいたのか、青嵐の幹部が口々に茜に威嚇する。
「なんで、ここにいる…!?それもなんでウチの制服きてんだよ!」
「なんだ?喧嘩でも売りにきたのかよ〜?それも、そいつの仲間?フッ、笑わせてくれるね〜」
「お前らも花崎さんに騙されてんのか。気の毒に。せいぜい族がかき乱されないといいな?」
その言葉に、ピクリともしない茜に対して、私の肩はビクッと揺れた。



