真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】





周りにはいつの間にか集まっていた野次馬。


目の前には青嵐。



こんな敵だらけのところで、泣きたくなかった。




だけど私の目に溢れる涙は止まらない。



歪む、歪む。


景色も、色も、青嵐の顔も。



目の淵いっぱいいっぱいまでたまった涙がポタ…と流れる瞬間。





「ワリィけど、そこまで。──俺の仲間そんなに虐めないであげてくんね?」




大きい手のひらが、私の目の前に広がって。


目元を覆われて。


視界が遮られた。


そして、耳に響くのはいつもと変わらないトーンのあいつの声。


きっといつも通り、顔も意地悪く笑ってるんだろう。



私の両肩に両腕をダラリとのせて寄りかかるようにしながら、右手で私の目元を覆ったのは────




「ふっ、う、茜…!!」




──茜だった。




視界を遮る、茜の手をすがるように両手でつかむと。


溜まっていた何かが溢れ出すように、私の目からとめどなく涙がこぼれた。



止まらない。


張り詰めていたものが全部壊れて。


茜の手を握ってるだけで、安心する。