ねぇ、なんで、みんなを苦しめるようなことするの──?
「花崎さん、いい加減柚姫ちゃんにまとわりつくのはやめてあげてくれないかな。柚姫ちゃんが姫をやめたらその時は花崎さん、君のせいだよ」
冷たい声で言う、海くんも久しぶりに見た。
それも、他人行儀な名字呼び。
やっぱり、私、海くんの低い声は苦手だ。
──怖い。
無言で立っている、中哉と。
何かを考えているような篠原柚姫。
そんな2人に目をやったあと、夕はまた、私の心を切り刻む言葉を放った。
「次、お前が柚姫に手ェだしたら。俺らがお前のこと別の族にうって、襲わせてもいいんだけど?」
ただの、脅し。
うん、わかってる。
でも、もう。
──ムリだ。



