もう少しで、下駄箱──というところで。
会いたくない人たちが前から歩いてきた。
なんでこうも毎回タイミングが悪いんだろう。
「っ…!」
私の顔が自然と引き攣った。
それと同時に、前の人たちの足も止まる。
──青嵐の幹部と、篠原柚姫。
楽しい気持ちが、沈んでいく。
朝、夕に言われた言葉が頭に浮かんで。
私の足はまた震えそうになる。
ピタリ、足を止めて向き合う私たちを一般の人たちはよけていき、この学校の人はなんだろうと興味本位でちょっと足を止めた。
「よぉ──朝ぶり」
ハッと鼻で笑いながら、一歩前にでてそういった夕。
そんな夕に続いて、久しぶりに見た茂も口を開いた。
また、なんか言われるのか。
私、まだ、耐え切れるかな?
「またうちの姫、いじめてくれたんだって?てゆーかいい加減気づきなよ〜、お前はもう俺らとは他人なの、わかる?」
しってる、わかってる、でも関わってきてるのはあんたたちだよね?
私は関わろうとなんてこれっぽっちもしてないよ?
でも、直接それを言われるのはやっぱりまだムリだ。
──最近我慢していた、泣くこと。
──大丈夫だって、言い聞かせて保ってきた心の中。
これ以上、何かを言われて私は耐え切れる自信がない。
でも、こんな奴らの前で。
──泣きたくなんか、ないよ。



