チラッと時計を見ると、あと5分で文化祭の一般公開が始まる時間。
今できているのは、コーヒーが入れられたティーポット3つとアイスコーヒーの入ったティーポットが2つ。
それとフラペチーノに使う氷が少し。
私は、細かくなった氷をドライアイスの入った発泡スチロールに詰める。
そして、それと今できているコーヒーの入ったティーポットを運ぶ用のお盆に乗っけた。
ちなみに、デニッシュは教室でレンジであっためて使うから、私たちは何もしなくていいらしい。
「これ、もってくね!」
と言うと、お盆にいっぱいのせて運ぼうとしている私をみて無表情を少し崩して目を開いた。
「いいの?大変じゃない?」
「全然ヨユー!えーっと……、あ!加耶(カヤ)ちゃんはコーヒー入れるのよろしくね!」
名前がわからなくて、慌てて目に入った名札を見る。
将門 加耶(マサカド カヤ)…かぁ。
…ん?将門?どっかでそんな名字のひといたような…?
うーん、1人で唸っていると。
心底嫌そうな顔した加耶ちゃんが、私の方をみて
「ちゃん付けってキモいし慣れないからやめて。普通に、加耶でいい」
と言ってきた。
そそそ、それって!!
「な、なんか仲良さげじゃない!?私たち!マブダチ!?マブダチになる!?」
さっきまでのテンションの低さも忘れて、私は興奮君に加耶ちゃん──もとい加耶に詰め寄った。
じ、実は私、今まで呼び捨てするほど仲良い女の子いなかったんだよね!
うん、別にまだ加耶とは仲良くないけど!
“まだ”だけどね!
私もう、仲良くなる気満々だけどね!!



