真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】



遠くにいたから、目を合わせていられたけど。

どんどんこっちに近づいてくる夕と中哉に耐えきれず、私は目線を反らした。



──怖い。



ダメだ、怖い。


拒絶してしまう。

近くで目線を合わせたら、きっと突き飛ばしてしまう。



震えそうになる足を、なんとか保つ。




大丈夫、私は白龍だ。私は白龍。



皆を守れる存在になるって。

決めたでしょ──?




「なんでまた、こんなことしてんだよ」


「次やったら、ただじゃすまさねぇぞ!」



近くで聞こえる2人の声に、心臓が不規則になる。


大きく息を吸って、吐かないと、呼吸が荒くなってしまいそう。




大丈夫、大丈夫、自分に言い聞かせる私の目線に入ったのは篠原柚姫。



皆がこっちに気をとられるからか、口角がニンマリと上がっている。



いつもはふわふわしてて、可愛い笑顔なのに。同じように笑っているのに。醜く悪魔のようなどす黒い笑みにしか見えない。




──ねぇ、あんたはなにがしたいの?


心の中でそう問いかけて、目線を合わせようとしない私のすぐそばまで、夕は歩を進めた。


心臓がドクンとなる。



近い、お願いだから、やめてよ。


指先が震えて、それを隠すようにぎゅっと握り合わせた。



耳元で、私にしか聞こえないように、夕はぼそりと呟いた。




「そういえば、前。────襲われなくて、よかったな?」



軽く、笑うように。