遠くにいたから、目を合わせていられたけど。
どんどんこっちに近づいてくる夕と中哉に耐えきれず、私は目線を反らした。
──怖い。
ダメだ、怖い。
拒絶してしまう。
近くで目線を合わせたら、きっと突き飛ばしてしまう。
震えそうになる足を、なんとか保つ。
大丈夫、私は白龍だ。私は白龍。
皆を守れる存在になるって。
決めたでしょ──?
「なんでまた、こんなことしてんだよ」
「次やったら、ただじゃすまさねぇぞ!」
近くで聞こえる2人の声に、心臓が不規則になる。
大きく息を吸って、吐かないと、呼吸が荒くなってしまいそう。
大丈夫、大丈夫、自分に言い聞かせる私の目線に入ったのは篠原柚姫。
皆がこっちに気をとられるからか、口角がニンマリと上がっている。
いつもはふわふわしてて、可愛い笑顔なのに。同じように笑っているのに。醜く悪魔のようなどす黒い笑みにしか見えない。
──ねぇ、あんたはなにがしたいの?
心の中でそう問いかけて、目線を合わせようとしない私のすぐそばまで、夕は歩を進めた。
心臓がドクンとなる。
近い、お願いだから、やめてよ。
指先が震えて、それを隠すようにぎゅっと握り合わせた。
耳元で、私にしか聞こえないように、夕はぼそりと呟いた。
「そういえば、前。────襲われなくて、よかったな?」
軽く、笑うように。



