はぁぁ、なんてため息をついていると南のクラスの発表が始まった。
…南ちゃんとやってたのかな?
てゆーか学校きてたっけ?
なんて首を傾げていると、南のクラスは合唱で。
もちろんのこと南はいなかった。
私たちの出番まで、このクラスを入れてあと2クラス。
私たちのクラスは、その歌の途中で移動する。
と、衣装担当のショートヘアの子が近づいてきて、無言で私のあげてある前髪のピンを外した。
「は!?ちょ」
その子は、はらり、顔にかかる私の前髪の根元に水のスプレーをかけて、クセをなおす。
「じっとしてだまって口出さないで。前髪切らせてもらうから」
と言った。
「え!?やだよ!そしたらこれから毎朝前髪も直さなきゃいけなくなる!」
「だめ、悪いけどあんたにはパーカーのフード被ってもらうんだから。前髪ある方がいい感じでしょ?」
その子は無表情のままそう言うと、ハサミに手をかけて私の顎まである前髪をジョキ…と切った。
頬のあたりまでになった前髪に、目を丸くする。
「ひえええ!?切られたぁぁ!?…まだ間に合う!今からでも遅くない!やめてぇぇ」
バタつく私にその子はまた無表情のまま、ピシャリと言った。
「綺麗に切ってあげてんのに、暴れるとギザギザになる。別に私はいいけど」
そう言って手を進めるその子に、なにも言えず私はおとなしくした。
手早くパパッと切られて、鏡を渡されるとそこには前髪パッツンの私の姿が。