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──文化祭前日。
今日は、外側の飾り付けを終えて。
教室の机の配置を変えたりするだけで、四時限目には帰れるハズだった。
──なのに。
「…なに、コレ」
朝学校にくると、昨日とはまるっきり違う教室がそこにはあった。
私と白龍が、頑張ってつくったハズの教室の中はぐちゃぐちゃに。
──そう、全部ぐちゃぐちゃにされていた。
なにこれ…?
私の顔が、そんなに悲痛だったのか。
どこからか笑いが聞こえてきた。
悲しさと、怒りで、どうしようもない。
「ねぇ、これやったの誰…?」
まるで私が喧嘩するときのような、低くて殺気だった声が出た。
だって、ムカムカして抑えきれない。
そんな私の気迫に、素早く反応したのは青嵐の下っ端たち。
「俺らはやってねぇぞ」
「来たらこうなってた。それだけだ。てゆーかお前、その威圧感──何者なんだよ」
ピリッ、教室の空気が張り詰めた。
「…私が、何者かなんてどうでもいい。これをやったのは、誰だって聞いてんの」
殺気をだしたまま、低く声を張り上げた私に教室にいた大半の生徒はビクリ、肩を揺らす。
目の前に立っていた青嵐の下っ端も、少したじろいだ。
「だ、だから、俺らじゃねぇって言ってんだろ!!」
「そんなに疑いたいなら疑ってろよ!も、もう俺ら知らねぇ!!」
「皆で来たばっかだけど帰ろうぜ!こんな居心地悪りぃ教室いたくねぇよ」
そう言って出て行く青嵐の下っ端に、ほとんどの人が着いていく。
最後の方に出て行った女子に、
「せいぜい頑張って?また体売った男たち連れて来てやれば?」
そう声をかけられて私はギリ…と歯を食いしばった。
そして教室に残っているのは──1人。
「あいつらの味方するわけじゃねぇけど、あいつらはやってねぇよ。俺見たから」
そういって、須佐くんが近づいてくる。
「じゃあ、誰が──」
と呟けば、
「俺昨日課題忘れて、取りに戻ってきてさ。見ちまった」
ちらり、須佐くんは私から、ぐちゃぐちゃの教室に目線を移して。
「…篠原柚姫がいた」
言いにくそうに、そう呟いた。
あぁ、やっぱり。
誰がやったかなんておおよそ見当はついていたけど、怒りが余計に湧いてくる。



