「とにかく、だ。お前がなんでぼっちで文化祭の準備やってんのか知らねーけど、俺らはとりあえず暇だったから手伝いにきてやったんだ。なんかすることあんだろ?貸せよ」
「そ、そうだよ!なんでいきなり教室こようなんて思ったの!?もう、ほんとびっくりした!」
いや、でもまぁ……本当はめちゃめちゃ嬉しかったけど。
「おめーがいねぇとなんかつまんねぇってこいつらが言うもんだから。ちょっくらいくかって」
「そ、そう?」
や、やだ。
なにそれちょっと嬉しいじゃんよ。
にへら、緩んだ頬を茜が片手で押さえてきた。
……痛いけど!?
「喜んでる場合か。とりあえず、やんだろ?じゃねーとお前まずいんだろーが」
「う、うん!…てゆーか茜、あんたも一応このクラスの一員だからね?分かってる?」
「…分かってる」
こいつ、絶対忘れてたな。
「じゃあ、俺らはなにすればいい?日向指示くれよ!」
「こんだけいればすぐ追わんだろ!これどこだ?」
積極的に動き出してくれたみんなに、茜の手から解放された私の頬はまた緩む。
…ほんと、もう、いい奴らだ。
「それはねー!あそこにつけるの!」
「これはあそこ!」
「それはハサミでギザギザに切ってから窓ね!」
言われた通り、指示を出していくと。
みんなが嫌がりもせず準備してくれる。
────1人でやると1時間以上かかりそうなその作業は、まさかの15分でおわった。
見渡せば、イメージ通りの出来上がり。
「みんな、ありがとう!」
「お安い御用よ!」
「そうそう、ひーちゃんはもっと俺らを頼れよな!」
「えへへ、うん。ありがとう」
みんなの優しい言葉に、私の胸はまたほわり暖かくなった。
私が一人だったことも、髪の毛が半乾きだったことについてもなにも聞かずにいてくれてるのも彼らの優しさなんだろう。
まだ解決策は見つかんないけど、絶対に見つけて自分でいじめを終わらせてから、みんなには話そう。
そう決めて、「おわったー!」と言いながらガヤガヤ教室から出て行くみんなの背中についていく。
「じゃ、帰るか。今日は日向ちゃん疲れただろ。茜におくってもらえ」
「はーい!茜、よろしく頼みまっす」
めんどくさそうな顔をしている茜をみながら、私は生乾きのジャージとカバンを机から持ち上げてまた歩き始めた。
まだ教室に残っていた人達の目線は私の机の上の落書きの方に移ったけど、私は気にせず「ほら、いくよー!」と言って歩きだした。
心配なんか、しなくて大丈夫だから。
────みんなは私の周りで、笑っててくれればそれで。



