こんなんじゃ、ダメだ。
グッと下唇を噛んで、なんとなく来ていた屋上の扉に手をかける。
ギイッと、鈍い音がなって中に足を踏み入れた時、
「──大丈夫!?柚姫、おちついて」
突然聞こえた声に、とっさに死角になってるところに隠れた。
…ばれてないよね?
そっと影からのぞいて、私の存在がばれていないことに安堵のため息を洩らす。
さっきどこかに立ち去った、青嵐の幹部の四人と篠原柚姫。
まさかここにいるなんて。
…しくじった。
「うっ…、ひっく」
「大丈夫だから、ね?泣き止んで、柚姫ちゃん」
「皆、ほんとに日向ちゃんとはもう何もない…?」
「ほんと!大丈夫だから信じろよ柚姫。俺らはあいつのことなんか大っきらいだっつの」
「さっきだって、白状させようと思ってしゃべってたんだよ~、だからほら、泣かない泣かない」
「そ、なの…?私のコト殴った事とか自分から白状してくれた…?」
「それがさ~、全然なんだよね~。挙句の果てに柚姫ちゃんが自作自演してるとかほざいてて。性格悪すぎでしょ?」
「ひっく、そんなことしないのに…っ日向ちゃんひどいよ………」
「ゆーちゃんのこと誰も疑ったりしないから安心しろよな!」
「本気でどーすんの?アイツ。次吐かなかったら罰が必要なんじゃね?」
「ん~、そうだね~。次、もし柚姫ちゃんの事悪く言ったり認めなかったり、生意気な口利いたらいっぺんシメとこ~」
「そーするしかないよな。ちょっと乱暴するけど、柚姫ちゃんがまんしてな」
「う、ん…。怖いけど、皆私のためにやってくれてるんだもん。ありがと!」



