真実と嘘〜Truth or Falsity…*〜【上】

彼らはそれくらい、この学校の人達にとって憧れの人だった。



──そんなことを忘れちゃうくらい。


私は近くにいたんだなぁ。


懐かしい、けどどこか切ない思い出を頭に浮かべて。



私は夕焼けに照らされた廊下を歩いて教室へ向かった。


茜に、【今日は、文化祭の用意が大変だから倉庫にいけない】そう送って、だれもいない教室でひとり、制服に着替えた。



濡れた髪の毛は軽く拭いて、頭はティッシュで押さえつけて止血する。



でも、傷のわりになかなか止まらない血に嫌気がさして、私は押さえたまま作業を始めた。



もくもくとダンボールに書いてある絵に、色をつけて。


全部のダンボールの4分の3くらいは塗り終わったところで、スマホが振動した。



「電話?…茜?」

画面に表示されている文字をみて、意外だななんて思いながら通話をタップした。



『おい、お前今日こねえの?』


「…あ、やっぱり茜だ」


『やっぱりってなんだよ。つか、文化祭の準備そんな夜までかかんねぇだろが』


「まだまだやることあるんだもん!悪かったな!明日までに、教室完成させなきゃいけないから今日はいけない!」


『明日までに、ねぇ?』


「な、なにさ」


曰くありげな言い方をした茜に警戒心を抱いていたのに、そんなのは一瞬で吹き飛んだ。


ガタガタ、と耳元で音がなって一瞬耳から離す。

もう一度近づければ、何か争うような声が聞こえて。


『ちょ…めろ…!』


「茜?」


聞き返して耳を近づけた──のが、失敗だった。



『日向!!オレオレ!なんでこねーんだよ寂しい!!…ミッキーさんずるいっす!ひーちゃんがいねーとつまんねぇよー!…おい、俺にも。日向、エビあるぞ?…だ…おれ…

──ガタ!ゴトゴトガタン、ゴッ!



だからてめーら自分のスマホでかけろよこのアホ!!ワリィ、じゃあな日向!』



一方的に喋って、切られた電話に私は数秒呆気にとられた。