「だまってないで、なんとか言えよ…!!」
悲しそうな瞳でそういうその子は手に持ったバケツを振り上げた。
ホースのときよりも、強い水圧で。
私の全身に降りかかったそれと一緒に、落ちてきたのはバケツ。
私を押さえつけていた子はとっさにどいたけど、私が起き上がるのは流石に間に合わなくて。
ガコン!!──ガコッガラガラ…
トイレに激しい音がなり響いた。
頭に、鋭い痛みが走る。
「痛い…」
「ひっ…!!」
ズキズキする場所を押さえていると、手に生ぬるいものが伝った。
私の頭から指を伝って。
私の下の水溜りの中にポチャンと垂れたソレは、赤い波紋を広げた。
目の前にいた2人は、正気に戻ったみたいにバタバタとその場所から素早く立ち去る。
そんな背中を眺めてから、私は自分の指先に目線を落とした。
「血…」
どうやら、あたりどころが悪く少し切れてしまったみたいだった。
頭って、血がでやすいからなぁー。
最近、生傷が絶えないせいかそんなのんきなことを考えながら、よっこらしょと立ち上がった。
「全身、水浸しだし…」
はぁ、とため息をついてジャージを絞っていく。
平常心を保ちながらも、さっき言われた言葉が頭でリピートされる。
いつも投げかけられてる暴言よりも重みがあって。
今まで、私たちの問題だって思ってたのに、それはちょっと違ったんだって気づかされた。
周りにも影響を与えるくらいの、大きい存在なんだ。
──そういえばそうだった。



