「逃がすわけないじゃん」
クスリ、笑ってその子はまた水をだした。
「ちょっ…!」
今度は顔じゃなくて、ジャージに。
「汚いから、ちゃんと洗ってあげないとね?」
通気性の良いジャージがびちょびちょになるのは一瞬のことで。
逃げる間もなく、全身がびしょ濡れになった。
まだ、この後、教室の装飾しなきゃいけないのに。
そう思い、私は隙をついて走りだした。
──けど。
ガッ!!足首に衝撃が走って、気づいたときには私はトイレの床に転んでいた。
「だから、逃がさないって」
クスクスクスクス、トイレに2人の笑い声がこだました。
──今までの子より、しつこい。
私をいじめるのが楽しくてやってる人たちとは違う。
目には、憎悪の色が滲んでいた。
重なった視線に、ドクン、心臓がイヤな音を立てる。
ジャージの首元をグッとひっぱられて、水のでているホースを容赦無く入れられた。
「…っ!?」
驚いてる私に見向きもせず、また笑い声を上げるその子。
そして、もう1人の子はいつの間に用意したのか──手にバケツをもっていた。
逃げようにも、床に倒れこんで押さえつけられた状態じゃ、立ち上がれない。
水がお腹に、下着に染み込んでくる。
気持ち悪い。



