笑いながらこっちに近寄って来たその子は、ペンキのついたハケを私の顔の近くまで持ってきた。
嫌な予感、しかしない。
──ベチャッ。
とっさに目を閉じると、左の頬から鼻にかけて冷たい液体がついた。
冷たい感覚がする場所を手で触ると、黄色のペンキが指についていて。
あぁ、最悪だ。
そんな私をみて、笑いが堪えきれないと言うように噴き出した目の前の女子につられてクラス全体が笑いの渦に包まれた。
パチリとあった視線の先には、須佐くんが心配そうな顔して立っていて。
大丈夫、と目線で送った。
「じゃ、明日までに完成よろしく売女さん」
肩に手をぽんっと置かれる。
ニヤニヤわらったその女子の顔が、あまりにも醜くてとっさに私は肩にある手を払った。
人をいじめるときの人の顔って、なんて醜くて生き生きとしてるんだろう。
なんて考えながら、教室からでていく醜いこのクラスの奴らの背中を見る。
「ほら、須佐もいくぞー」
「いや、おれは、その」
「早くしろよー!」
教室に残ろうと私にまた目配せを送ってくる須佐くんに、『平気だから早く行け!』そう口パクで言って追い出した。



