また仲間に戻りたいと思っていた気持ちが、こんな奴らと仲間だったなんて気持ち悪いと嫌悪感でいっぱいになる。
仲間だなんて言ってても、好きな人にひどいことをしてると知った途端、根拠なんかなくても手の平を返す。
恋に溺れて周りが見えてないのは自分じゃんか。
なんでこんな人たちと一緒にいるのが楽しいなんて思ったんだろう、私は。
…バカみたいだ。
「…なんかもう疲れた。
篠原柚姫をいじめたのもボロボロにしたのも全部私だよ。私がやりました。
…これでいいんでしょ?満足でしょ?
だからもう金輪際、私に話しかけないで。
……教室に戻るから。そこどいて」
気づけばさっきよりも、数倍冷たくて低い声が口からでていた。
自然と、冷たい声しかでない。
「…ひなた?」
私のいきなりの豹変ぶりに、中哉の少し戸惑ったような声が耳に届いた。
でも、もう、そんなのを聞いても何にも思わない。
心があり得ないほど、冷たい。
頭の中でリピートされるのは“もとから最低なヤツだった”、その言葉。
ズキン、ズキン、本当は壊れそうなくらい痛い胸。
嫌悪感でいっぱいなのに、なぜかその言葉が頭でリピートされる度に傷ついてる自分もいて。
感情が入り混じってわからなくなる。
「はやく。どいてよ」
冷たく、冷たく言い放つ。
彼らが何を言っても私を信じてくれないのをみて、彼らへの執着していた気持ちからやっと我に返ったような感じもするけど。
──なんでなのか、ズキズキ胸は痛んで。
私は仲間なんてものつくっちゃいけない。一生、過去の重みを背負っていかなくちゃいけない。
──頭では理解してるけど、心のどこかでやっぱり独りになることを怖がっている。
こんな過去を持った私が仲間なんて、始めから間違いだったんだ。楽しくなんて生きちゃダメだ、私は。
──でもどこかで、仲間を欲してしまっている。
頭の中と、心が、一致しない。
ぐちゃぐちゃに入り混じった感情はどうしようもなく私の心を荒らしてく。
ただ、青嵐の前で弱さなんか見せたくないから、全然どかない中哉にため息をついて中哉をよけて通りすぎる。
通りすぎる時に見た中哉の目は、何かを。
何かを言いたそうだった。



