そして、そのあと凶虎をどこかの族が潰したって聞いて。
俺はもう、自分の中にあるどす黒い感情を隠すことができなかった。
だってあいつは、俺ら以外にも関わってる族があったってことで。
襲われてなかったってことよりも、そのことの方が印象が強すぎて。
怒りの感情に支配されることしかできなくなっていた。
「──お前何そんなイラついてんの」
「うるせぇな」
冷えた廊下を茂と歩けば、そんなことを問われて。
知らねぇよ、俺が聞きてぇよ。
理由はよくわからないけど、でも無償に腹が立った。
いや、本当は理由なんてわかってるか。
なぁ、日向。
俺らは、その程度だったのかよ。
…ふざけんな。



