そう言うと、了解といって南は爽やかな笑顔を見せてくれた。
嬉しい、なぁ。
じわりじわり、胸が暖かくなって。
私は始終笑顔だった。
でも、校門を通ってからは突き刺さる目線目線目線。
おかげで、居心地が悪くってたまらない。
でも、そんなの気にしないでのんきな顔してる南は心臓に毛が生えてると思う。絶対。
「…周りの目線なんか、気にすんな。今は横に俺がいるだろ。俺のことだけ気にしてろよ」
「ぷっ、南ヤキモチ焼きな彼氏のセリフみたい!」
「てめ、こっちが気にかけてやってんのに!」
「別に気にかけてとか頼んでないしー!」
おちょくるとそれに南が食ってかかる。
単純な南を、バカにして笑いながら歩いているとある人たちが目に入った。
見覚えのある彼らは、青嵐。
一瞬足がぴたりと止まってしまったけど、何事もなかったかのように私は歩き出して、また南とふざけながら下駄箱まで向かった。
でも、私は自分でも分かるくらい下手くそに笑ってたし、心臓が嫌な音で鳴り響いて、手は少し震えていた。
私と違うクラスの南が、私から離れた下駄箱で靴を履き替える。
そんな南にばれないように、小さく息を吐いて自分を落ち着かせた。
──また一緒にいたいとかそう言うのじゃなくて、ただ単純に。
ただ単純に、彼らが怖くてたまらない。
だって彼らは、私が襲われると知っていたのに助けにこなかった、私がそう言う目にあっても別にいいと判断した人たち。
──怖くない、わけがない。