──ただ今日は、少し違ったんだ。
朝学校に行って、授業を受けて、そこまではいつもと同じ。
だけど二時限目の移動教室の時にそれは起こった。
廊下を歩いて、別棟の美術室まで歩いていると後ろから肩を叩かれた。
この学校で私に話しかける人、いたっけ?
警戒しつつも振り返ると、真っ黒の髪の毛をツンツンに立たせた男の子がいた。
無表情のその顔からはなにも読み取れない。
でもグッと構える私に反してその人は、
「美術で使う絵の具が裏庭の倉庫にあるんだけど、とってきてくれない」
そんなことを言ってきた。
先生に頼まれたのを私に頼んできたってこと?
…なんだ、そんなことか。
「うん、わかった」
そう返事をして、私は裏庭まで歩き始めた。