そんなこんなでバイクを満喫していると、私が教えた、マンションの近くのスーパーについた。
「おい、着いたぞ降りろ。パンクする」
しねぇよ。このド失礼が。
心の中で毒づきながら、茜を睨みつつお礼を言う。
「送ってくれてありがとっ!」
よいしょよいしょと一苦労しながらバイクを降りた。
もう8時くらいで、暗くなった空に重なる茜の金髪が妙に浮いて見える。
「じゃあ早く帰れ」
「帰りますよー!また明日ね!」
そう言って、身を翻し自分のマンションの方にむかって歩き出した。
数歩歩いたところで、後ろから
「──大丈夫なのかよ」
という声が聞こえてきた。
くるりと振り返ると、バイクにもたれかかってる茜。
「なにが?」
「お前、襲われかけたんだろーが」
その言葉をきいて、ちょっと心臓がドキリとした。
「ぜ、全然平気だし!じゃあね」
そう言ってまた茜に背を向けた私。
歩き出そうとしたところで、肩に手がかかってまた茜の方を向かされた。
「バーカ、手ぇ震えてんだよ」
「っ!」
言われるまで、気がつかなかった。
じぶんの手を見ると、小刻みに震えている。
「別にっ、なんでもな──」
「アホか、さっきバイク乗る前もちょっと震えてただろーが」
茜の真剣な目線から、目が反らせない。
なんで、こんな脆い状態の時に優しくしてくるの。
「っ、うぅー…」
家帰ってから1人で体綺麗に洗おうと思ってたのに。
全部流そうと思ってたのに。