今、電話で会話をしていた彼が、




私の背中にピッタリとくっついて、

鎖骨の辺りに腕をまわす。







「ちょ、え?
世良サン…!?なんで此処に…。」





パチンと携帯を2つ折りにして彼は言う。





「その前に離してとか言わないんだ。」






あ、そうだった…。


でも今は、
嫌じゃないっていうか…。




電話で会話してる時は大嫌いだったのに、


今、彼に身体を預けていられるのは、



どこか懐かしい香りに一瞬ボーっとしてしまったから。





香りだけじゃない。




背中から伝わる彼の熱。


耳で感じる彼の吐息。






全てが私の頭の中にある、古いアルバムをめくるような、

懐かしい気持ちになった。