「はい?」




振り返ったスタッフさん(だと思われる人)に

私は一瞬みとれた。





ちょっとダボッとしたジーパンに、白いTシャツの袖から伸びる長くてほどよく筋肉が付いている腕、


髪は赤茶色でフワフワしていて、その上からキャップを深く被り、


そのキャップで隠れた顔を更に隠すかのように、大きなこげ茶のサングラスをしている。






顔はほとんど隠れているけれど、


絶対この人かっこいい…


そう思った。




スタッフさん…では無いよね。






とりあえず聞いてみよう。





「あの、トイレって何処ですか?」





失礼覚悟で聞いてみた。


すると、




「お前、誰?
見掛けない顔だけど。」




と、質問を質問で返された。






えぇぇ…ι



こういう時は…




「橘監督の親戚です!
エンドレスラブの撮影を見学しに来ました…。」





…信じてもらえるかな…。






「橘監督の?
わかりやすい嘘ついちゃ駄目だろ。
ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ。」





ガーーン…。



本当なのに…。






「ま、でもトイレ行きたいんだろ?
我慢したら大変だから連れてってやる。」




そう言って、その男の人は歩き出した。




ついて来いってこと?



優しいな…。