もちろん、この事件は大々的に世界中で報道された。




だから、


日本に帰国して、
空港で待ち構えていた記者達による、
いつも通りのフラッシュ嵐の中にいる私に聞かれるのは、




「襲われた、ということですが、その時の心境を一言お願いします!!」



とか



「犯人を響子さん本人が倒された、ということですが、その時の状況を詳しくお願いします!!」




そんなことばっかり!!!



イスカー賞は!?



どうして誰もそのことに触れないのよ!




本当にイライラしちゃうわ。





「ごめんなさい、事務所の方から発表があるはずなので。私からはコメントできません。」




事務所からそんなことは言われていないけど、こんな事件のことしか聞いてこない記者たちには何も喋りたくない!!





「失礼します。」




私はそれだけ言って、フラッシュの嵐を抜け、空港前に止まっていた車に乗り込んだ。