青春を取り戻せ!

本当は、今は亡き父に、小学の頃から手ほどきを受けていたので、ゴルフに関しては多少自信を持っていた。

「いいえ。とてもお上手とお見受けいたしましたわ」

「ありがとう」

彼女の訴えるようなまなざしは、僕に教えて貰いたいのかなとも思えた。

しばらく考えた。

申し出が遅れたため、彼女はもう練習に戻ってしまった。

タイミングを逃したのを悔やんだが、少し冷静になってみると、こんな美人が一人で来るわけがないように思えた。

何気無いそぶりで連れを捜した。

後の打席は明いていた。 トイレの出口にも、ジュースの自動販売機のあたりにもそれらしい人物は発見できなかった。

僕は意味もなく安心し、練習に入っていった。

「キャッ!?」

小さな悲鳴と共に、またボールが目前を……

「ごめんなさい」

と、彼女は申し訳なさそうに言った後、僕の顔を覗き込むように見つめてきた。

「でも何故、こんなボールがでるのかしら?」

(今だ!教えましょうか?と言うんだ!?)

しかし僕は、大きな瞳がとても眩しく思え、その一言が言葉に出来ず、

「…さぁ?」

とだけ、つぶやいていた。