「クーン クーン」

口で新聞の端を噛んでいる彼の精神構造は、まだまだ嬉しいことに子供のようだ。

「ボン、わかったよ。読み終わったら、遊んであげるから」

返事の代わりに、真っ白な体毛の先がキラキラと強い太陽の光を反射し、金色に輝く水平線のように波をうった。

「ボン、おイタしちゃ駄目よ」

真赤にほてった細い腕がボンの首を引き寄せた。
標的を変えたボンのペロペロ攻撃に、ハイレグの水着に若さ溢れる体をしまいきれない僕の女房は、笑いながらボンともつれあった。

僕は目を細めた。

まさに二人(優紀とボン)は、僕の青春そのものだった。

そのあと新聞に目を戻した。

―――― 尚、別件として、拳銃不法所持、銃刀法違反で白木猛を緊急逮捕。白木は犬小屋から見付かった三八口径の回転式短銃と実弾二発の所持を自供。入手ルートを捜査中である。 ――――

(了)