それから女の処理について話し合った。
今だったら、どうにでもなったが、その当時は6百万円の金はなかった。とても無理して捻出する気は起きなかった。そしてこのまま放置することはまた襲われる可能性もあった。
それに、最も恐れることは、よからぬ噂を立てられ、せっかく軌道に乗ってきた会社のイメージ・ダウンにつながる事だった。
結局、口をふさぐことに決まった。そして、その罪を君に押し付け、老化を止める薬を奪う事になった。
その後は君の知っているように、まだ研究室にいた君に連絡を取り、未美は食事を作って待った。
そして君が食後の酒に混ぜた睡眠薬を飲んで、いびきをかいて熟睡している時に、押入れにテーピング・テープで跡の残らないように縛って寝かせておいた女を出し、犯行を行なったわけだよ。これで全て話したよ。早く解毒剤をくれよ~ ――――
僕はここでカセットのスイッチを切った。
「その時、よくボンが騒がなかったね?」
「あぁ、あのバカ犬?ミルクに睡眠薬を入れ、寝かせたのさ」
「ふーん。殺した女の住まいに君たちに関する書き物は残ってなかったの?」
「それは、君が満腹し、ご機嫌で睡眠薬を飲んでた頃、俺は未美の車で自分の家に戻り、近くに駐車しておいたロゴの入ってない我社の社用車に乗り替え、女のアパートに行った。
女のハンドバックの中にあった鍵を使い容易に忍び込み、俺と富多商事に関する書類を持ち去り、代わりに君のパジャマと歯ブラシを置いてきたのさ」
未美の車を8時半に僕の家から自分たちのマンションに移動して目撃者づくりをしたのは、やはり白木だった。

