(なにが社員思いだ!?)僕は頭に血がのぼりかけたが、グッと抑え、奥歯を噛み締めた。

白木は僕の反応をうれしそうに眺めた。

「しかしそのお陰で、簡単に犬を捨てられなくなっちまったがな」

「動機はともかく、ありがとう」

「しかし何でおまえが?まだ刑期が四年半も残ってるじゃないか?」

「短縮されることもあるというのを知らなのか!?おまえたちへの復讐を誓って、真面目に務めあげたおかげさ」

「馬鹿な!?」

「このことにもお礼を言わなければな」

「では、今度は短縮のない極刑にしてやるよ!」

白木は拳銃の撃鉄を起こした。

「待って!若返りの薬の作り方を聞いてからでも遅くないわ」

彼女はお金や誰の為でもなく、自分の為に聞きたいようだった。

「そうだ!あの薬の設計図はどこだ!?」

「本当に知らないのかい?あきれたもんだ」

「バカにするな!」

バッシュ!

白木は銃弾を僕の足元に撃った。

サイレンサーが付いているようで驚くほど小さな音だった。

穴のあいた絨毯を見ると、足がすくむような脱力感に襲われた。…待て!これで弱気になったら奴らの思う壷だぞ。

「僕を殺したら一生手に入らないぞ!」