優紀はアーモンド色に日焼けした頬に輝く汗を浮かべ、微塵(みじん)の曇りもない瞳を僕に向けた。
「タツロー! ボンを散歩に連れて行っておいたからね」
優紀はいつも僕の名前を呼び捨てにする。
25歳の大人が12歳の小学生に呼び捨てにされているのは、奇異にうつるかもしれないが、僕自身はなんの抵抗もない。
僕が優紀(ゆうき)と呼び捨てにしている以上、彼女にも権利があると思っている。
例え半分以下の年齢でも、一個の人間として対等に扱ってやるのが礼儀だと思っている。
「オッ サンキュー!」
「今日は早いじゃん」
「うん。ちょっとな」
僕はニコッと微笑むと、昔工作で作った、15年の歳月で赤から白っぽい灰色に変わった木製のポストの上から鍵を取り出すと、玄関に入り、固形のドックフードを持って来た。
ボンが弾みながら足もとに駆け寄って来た。
踏まないように気をつけながら、彼の皿まで移動し、手の中の物をあけた。
「わかった、デートでしょう!」
と言うと、優紀は僕の背中に飛び乗った。
そして首に、日に焼けたあとの中途半端に皮のむけた細い両手を回してきた。
「アッ」
前に倒れそうになった僕は、ボンを守るために彼の両側に手を着き、体を支えた。
そんなことにはおかまいなしに、ボンは尻尾をいそがしく振りながらドッグフードにかぶりついた。
「バカ!“オアズケ”を言うタイミング、のがしたじゃんかよ」
「タツロー! ボンを散歩に連れて行っておいたからね」
優紀はいつも僕の名前を呼び捨てにする。
25歳の大人が12歳の小学生に呼び捨てにされているのは、奇異にうつるかもしれないが、僕自身はなんの抵抗もない。
僕が優紀(ゆうき)と呼び捨てにしている以上、彼女にも権利があると思っている。
例え半分以下の年齢でも、一個の人間として対等に扱ってやるのが礼儀だと思っている。
「オッ サンキュー!」
「今日は早いじゃん」
「うん。ちょっとな」
僕はニコッと微笑むと、昔工作で作った、15年の歳月で赤から白っぽい灰色に変わった木製のポストの上から鍵を取り出すと、玄関に入り、固形のドックフードを持って来た。
ボンが弾みながら足もとに駆け寄って来た。
踏まないように気をつけながら、彼の皿まで移動し、手の中の物をあけた。
「わかった、デートでしょう!」
と言うと、優紀は僕の背中に飛び乗った。
そして首に、日に焼けたあとの中途半端に皮のむけた細い両手を回してきた。
「アッ」
前に倒れそうになった僕は、ボンを守るために彼の両側に手を着き、体を支えた。
そんなことにはおかまいなしに、ボンは尻尾をいそがしく振りながらドッグフードにかぶりついた。
「バカ!“オアズケ”を言うタイミング、のがしたじゃんかよ」

