青春を取り戻せ!


本当は自分でも知っていた。彼女のことが、Likeから、Loveに変わっていたことを、…でも自制心がそれを食い止めていた。 
…色々のファクターが腰を引かせていた。
今まで妹として見てきたこともそうだし、年齢が13離れていることも、僕が前科者だということも、そして女性恐怖症になっていたことも事実だった。

しかし今は駆け寄り、骨のきしむほど抱き締め、
愛してるよ!
と叫びたい衝動を抑えるのに苦労していた。


彼女は以前の明るい文章に戻っていたが、大学は行かないという気持ちは変わらなかった。

僕はもし大学に行くお金がないのなら、僕の家を売ってお金を作ってくれと書いた。

しかし彼女は、お金は航空会社から貰えるので心配ないが、ただ、自分のまわりには今まさに堤防が崩され荒海が押し寄せていることを実感しているのに、ノホホーンと親の脛(すね)をかじり、現実を見ていない人たちと一緒に貴重な年月を過ごすことが我慢出来ない。と、そして僕の実験助手をする夢は捨てていないので、製薬会社に就職したいと書いてきた。

僕は彼女のこの二ヶ月間の人間としての急成長に驚きながらも、その意見に賛同していた。

目的もなく大学に入るよりも、余程得るものがあると思ったからだ。
もし、必要と感じたならば、その時から入学しても遅くない。


その後、久し振りに喜びに満ちた手紙をもらった。有名な一部上場の製薬会社に見事採用になったということだった。

僕も胸を撫ぜ下ろす気持ちだった。

その後も彼女からの新しい世界の情報を詰めた手紙が、僕を一喜一優させてくれた。