青春を取り戻せ!


ちなみに優紀は有名進学高校に進学していた。

そして、刺激のない僕の目を少しでも楽しませようと、切手にも便箋にも凝り、毎回違う、綺麗で愉快な物を選んで使ってくれた。

…ありがたかった。
そして、彼女の手紙をいつの間にか心待ちにし、女性に対して持っていた不信感や恐怖感が徐々に氷が溶けるように取り除かれていくのを感じた。

僕が刑にふくし四回目の正月を迎えた時、優紀は大事な大学入試を控えていた。
彼女は将来、僕の助手になるために薬学部を受験するといってくれていた。

…嬉しかった。

僕はこれでもっとも頭を悩ませていた優秀な助手の心配がなくなった。そして君なら必ず薬科大学に合格できるという手紙を出した。

その後、二週間はあかしたことのない彼女からの手紙が、すでに三週間も来なかった。

僕は心配したが、檻の中からではどうすることも出来ず、悪いほうに物事を考える思考回路が働くのをどうしようもなくいた。

しかし残念なことに、その予感が的中していた。やっと来た彼女からの手紙は悲しみに満ちたものだった。

なんと!?彼女の両親が飛行機事故で二人いっぺんに亡くなったのだ。

年末まで設計事務所の仕事が立て込んでいたご両親は久し振りの長期休暇に旅行を計画していたが、彼女は受験勉強があるので断り、気乗りのしていなかった二人に国内旅行はやめて、海外に行くよう、彼女が勧めたのが今回の悲惨な事故につながったのだった。

彼女の悲しみは推測の域を超えたものだった。僕も同じようにいっぺんに両親を亡くしていたが、彼女は女で、しかも自分が事故の責任の一端を担っていると思い込んでいた。